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ここで、ロケットの燃料について見てみよう。ロケットに使われている燃料は、大きく分けて二つ。ひとつは固形のもので、固体燃料とよばれる。代表的なものには、合成樹脂や合成ゴムなどの燃料と酸化剤(燃料に酸素を供給するためのもので、塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウムなどが使われる)を均一に混ぜたもので、コンポジット推薬とよばれるものがある。
もうひとつは液体燃料といわれるもので、これは、液化した水素、灯油などの燃料と、酸化剤(多くは液化した酸素が使われる)からなるものなんだ。燃料と酸化剤は別々のタンクに入れてあって、燃焼室で混ぜあわされて爆発させるんだ。
ロケットは燃料を燃やして、そのとき発生する気体を後ろに噴出し、その反動を推進力としているんだけど、ものが燃えるときには空気のなかの酸素が必要なことは知っているよね。飛行機は、空気をエンジンのなかにとりこんで、そのなかの酸素を使って燃料を燃やしているんだ。いっぽう、ロケットは燃料のほかに酸素を液体にしたものを積んでいて、それを利用して燃料を燃やしているんだよ。だからロケットは、空気のない宇宙空間でも飛べるんだね。
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つぎにロケットの燃料が燃焼する原理を、燃料に液体水素、酸化剤に液体酸素を使ったものを例に化学的に見てみよう。スペースシャトルのメイン・エンジンも、この液体水素と液体酸素を使っているんだ。このことからも、この二つの物質の化学反応で、ものすごい力が生まれるということがわかるね。
2gの水素が燃焼するとき、68.3kcalものエネルギーが生まれるんだ。たった2gで100cc以上の水を蒸発(じょうはつ)させてしまうだけのパワーをつくりだすんだから、たくさんの水素を燃焼させるロケットの発射では、ものすごいエネルギーがつくりだされていることが想像できるね。ロケットでは、この水素と酸素の急激な反応をコントロールしている。いっきに反応するとどうなるか。
それはスペースシャトル「コロンビア」の事故を考えてみればわかるね。耐熱タイルを貼って、あれだけがんじょうにつくられているものが、こなごなになるほどのエネルギーが出るんだね。
ロケットの打ち上げという大事業も、水素と酸素の反応という、キミたちが学校で学ぶような基本的な作用を利用しているんだね。
じゃあもう一度、整理してみよう。燃える、つまり燃焼するということは、ある物質と酸素がいきおいよく熱と光を出して、化学反応をするということだね。
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温度が上がると、気体が膨張(ぼうちょう)することは知っているね。この膨張する力を利用したのが、ガソリンエンジンだ。
まず、ガソリンと空気を混ぜた気体を、シリンダーのなかに吸いこませる(@)。ピストンで圧縮(あっしゅく)する(A)。ピストンがいちばん奥まで達して、もどろうとするときに、火花で点火する(B)。燃焼で気体が膨張して、ピストンを押し下げる。こうしてクランクシャフトを回転させると、惰性(だせい)でピストンは上がり、排気弁が開いて、気体を外に送り出す(C)。つぎに下がるときに、新しい気体を吸いこむ。この工程のくり返しで、ガソリンエンジンは動いているんだよ。
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